面接で交わした「約束」が、3年間の支えになった。市川校舎の先生と在校生のこと

面接で交わした「約束」が、3年間の支えになった。市川校舎の先生と在校生のこと

市川校舎には、職員室に壁がありません。

教室に向かうとき、帰るとき——廊下を歩けば必ず先生の顔が見える。カウンター越しに「おはよう」が返ってくる。ドアをノックする必要も、「今、話しかけていいのかな」と躊躇する必要もない。

この記事では、市川校舎の校舎長・若林先生と、在校生の松下さん(3年生)に話を聞きました。入学前の不安、先生との距離感、3年間で起きた変化——2人の言葉をそのまま届けます。

若林先生 市川校舎長 成美学園の開校当初から市川校舎に携わり、4年目を迎えた校舎長。前職から転職して着任し、酒井学園長の教育への思いに共感して「市川校舎らしさ」をゼロからつくってきた。

松下さん 3年生(集団授業コース) 中学の途中から学校に通えない時期があり、成美学園に入学。現在は卒業を目前に控えている。

「入学前、どんな不安がありましたか?」

松下さん

馴染めるかどうか、というのが一番でした。それと、また通えなくなったらどうしよう、という気持ちもあって

若林先生

そのふたつは、本当によく聞きます。だから面接では、入学後に困らないように、時間をかけて話を聞くようにしているんです。合否を決めるための場というより、ヒアリングの時間に近い。何が苦手で、何が辛かったか——それを把握していないと、入学後のサポートができないので

(面接の最後には、必ず約束を交わすという。「何かあったら必ず相談すること」「何もなくても、話したい時には話しかけること」——この2つだ。)

松下さん

ちょっとびっくりしたんですけど(笑)。でもそれがすごく話しやすかった。『この先生に相談していいんだ』って思えた感覚が、3年間ずっと続いた気がします

若林先生

先生に相談するために予約を取らなくていいんです。廊下を通れば、いつでも声をかけられる。この面接での約束と、毎日の顔合わせの積み重ねが、3年間の安心をつくっていると思っています

「3年間で、一番変わったことは?」

松下さん

バンドです

(即答だった。入学前は楽器を触ったことすらなかったという。)

松下さん

気づいたらライブに出ていた。人前に立てるようになったのは、本当に自分でも驚きました。アルバイトも1年半続けてるし、学校説明会で保護者の人たちの前でスピーチもして——中学の頃には想像できなかったことばかりです

若林先生

学校に来られなかった子って、できないんじゃなくて、タイミングと場所と出会いがなかっただけなんです。私たちがやってきたのは、その”きっかけ”をできるだけたくさん用意すること。

バンドも、アルバイトも、全部そのひとつです。できないことはない——得意不得意があるだけで、やりやすいやり方が必ずある。だからこの子はこれが苦手だ、じゃなくて、この子にはどういう形が合うかを探し続ける。そういうスタンスでいます

松下さん

考えても変わらないことは、どうやって自分の中で消化するか——そういう話を先生からされたことがあって。ぐるぐる考えて夜眠れないことが多かったんですが、”消化する”という発想になってから、少し楽になりました

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「松下さん以外にも、変化した生徒はいますか?」

若林先生

それはもう、たくさんいます。入学当初はほとんど言葉を発しなかった子が、最近では友達とたくさん話して、『あれやりたいね、これやりたいね』って未来のことを語れるようになってきたり。

先生が『馴染めるかな』って心配してた子が、いざ入学したら校舎のムードメーカーになってたり。無理をしているわけじゃないんですよ。素を出せる空気感に本人が自然に乗ってくれた結果なんです

(40分かけて電車を乗り継いで通っている生徒もいる。もっと近い校舎もあるのに、「市川校舎の雰囲気が好きだから」と選んで毎日来ているという。)

若林先生

それ以上に私たちが嬉しいのは、生徒が『今日はしんどいから休もう』と自分で判断して連絡してくれるようになることなんです。気分に流されるんじゃなくて、何が大事かを自分で考えて行動できるようになった。その変化が、何より嬉しい

松下さん

最初あんまり喋らなかった子が、今めっちゃ喋ってる、みたいな。あ、変わったな、って

「この校舎の雰囲気を、一言で表すと?」

若林先生

“素”だと思います。素の自分を出せる場所。着飾らなくていい。弱い部分を見せていい。そういう空気をつくりたいとずっと思ってきました。

普通の学校だと、職員室はハードルが高い。でも市川はいつでも声をかけられる。来た時も、帰る時も、顔を合わせる——その日常の積み重ねが、関係性をつくっていくんだと思っています

松下さん

楽しい、かな(笑顔

若林先生

生徒が帰ったあとも、ずっと生徒の話をしているんです。今日あの子こういう顔してたよね、って

松下さん

それ、本当にそうなんです。他の生徒が少しずつ変わっていくのも、側で見ていてわかる

(そして若林先生は、こう続けた。)

若林先生

先生として、生徒に支えられているように感じています。3年間、一緒に過ごしてきた子たちが、ちゃんと笑って来てくれている。それが一番の支えなんです。

先生が生徒を支えているのは当然のことですが、逆もあると思っていて。生徒がいてくれるから、私もここにいる意味がある、という感覚があります

松下さん

そういう風に思ってるって知らなかった。でも、確かに——先生って、いつも気にかけてくれてる感じがするんですよね

「入学を考えている方に、一言ずつ」

松下さん

楽しいし、安心できます。自分も変われたから——諦めないで大丈夫、って伝えたいです

若林先生

悩みがあること、今できていないと思うことは、悪いことじゃないです。不安があるのは当たり前のこと。まずはありのままの自分で来てほしい。一歩踏み出す勇気があれば、支える場所が市川にあります

「来てみて、先生と話して、雰囲気を感じてほしい」——それが若林先生のスタンスです。記事で伝えられることには限りがあります。まずは一度、足を運んでみてください。