esports

年々「eスポーツ」の認知度が高まる中、高校でもeスポーツに特化したコースや学科の開設が活発化しています。

高校でeスポーツを学びたいお子さんをお持ちの保護者の皆さんは、子どもの意欲を尊重したいという気持ちがある反面、日々の生活や学習、進路に不安を抱いているかもしれません。

今回はeスポーツ市場の現在の状況と今後の展望、高校でeスポーツを専攻することのメリットや課題、実際の学習内容、卒業後の進路選択について解説します。

目次

日本・神奈川(茅ヶ崎/横須賀)のeスポーツ

「eスポーツ」は、それまでのコンピューターゲーム、テレビゲームに端を発する、個人またはチームで対戦し、勝敗を競う形式のスポーツです。日本では2010年代から活動が盛んになり、今では単なるゲームではなく、戦略やチームワークが求められる「競技」として認識されるようになりました。

▼国内・神奈川におけるeスポーツの沿革

2007年第2回アジアインドアゲームズ(アジアオリンピック評議会主催)で従来の「スポーツ」の正式競技としてeスポーツが採用
2016年日本にeスポーツのプロリーグが誕生
2018年日本eスポーツ連合(JeSU)が発足
2019年12月横須賀市が「Yokosuka e-Sports Project」を発足
2021年3月横須賀市が「YOKOSUKA e-Sports CUP」を初開催
2024年6月かながわシニアスポーツフェスタ2024でeスポーツ競技を実施
2024年9月県内初のシニア向けeスポーツの全国大会「SUNSHINE eスポーツフェスタ in Kanagawa」を開催

国内eスポーツの市場は200億円に迫る

日本におけるeスポーツ市場は年々成長を続けています。コロナ禍でもオフラインイベントを中心に成長は鈍化することなく、ここ数年はオフライン開催との相乗効果により、さらに拡大。2025年の市場規模は200億円にも迫ると予想されます。

出典:日本eスポーツ白書2024

横須賀市の「Yokosuka e-Sports Project」

横須賀市では、2019年から「Yokosuka e-Sports Project」をスタートさせ、eスポーツに関わる人々によって地域コミュニティの活性化や、新しい文化の定着を目指す、先進的な取り組みを行っています。

Yokosuka e-Sports Project【紹介ムービー】

2021年に高校生を対象にした「YOKOSUKA e-Sports CUP」を初開催すると、第5回大会(2024)では全国から81チームがエントリーし、盛り上がりを見せました。

また、市内在住・在学の高校生(1・2年生)から5名を選抜し、生徒の選手キャリア育成支援を行う、「Yokosuka e-Sports Scholarship制度」も展開。企業やプロeスポーツチームが協力するなど、官民でeスポーツの普及を行っています。

高校生の二大全国大会「STAGE:0」と「NASEF JAPAN」

高校生年代では2つの主要なeスポーツの全国大会が開催されています。

  • STAGE:0(高校対抗全国eスポーツ大会)
    同じ高校内でチームを結成し日本一を争う、高校対抗eスポーツ大会。2019年に初開催。毎年8月に全国大会グランドファイナルが行われる。2025年には大阪・関西万博で開催予定
  • NASEF JAPAN 全日本高校eスポーツ選手権
    国際教育eスポーツ連盟ネットワーク(NASEF)日本支部が2023年に立ち上げた大会。12月に全国決勝を開催

eスポーツを本格的に学べる高校が増加中

国内ではeスポーツを専門的に学べる高校が増えています。2018年に日本初の通信制高校でeスポーツコースが開講され、2023年には全日制高校でもeスポーツコースが誕生しました。

神奈川県でも前述の行政の支援もあり、eスポーツに取り組む高校が公立・私立を問わず増えています。

高校でeスポーツを学ぶメリット

高校の学習カリキュラムとしてeスポーツを学ぶことで、以下のようなメリットを得られます。

成長年代での経験やスキルの取得が将来の可能性を広げる

特に成長年代における知識やスキルの習得は、将来のキャリアにおいて大きな可能性を広げる要因となります。

ゲームプレイの技術だけでなく、eスポーツコースで習得できるプログラミングやデザイン、動画編集などの専門的なスキルは、IT業界のみならず、様々な企業で重宝されます。

またゲーム内で戦略的思考や迅速な判断、仲間との協力を繰り返すことで、実社会での問題解決能力やコミュニケーション能力が向上し、あらゆる職業で役立つスキルとなります。

「プロプレイヤー」以外の選択肢も増える

各高校のeスポーツコースでは、すべての生徒がプロeスポーツ選手を目指すわけではありません。むしろ限られた生徒だけが、卒業後にトップ選手への道へと進みます。

しかしeスポーツに関わる職業は、プロ選手だけでなく、例えば、デザイナー、イベント運営者、ストリーマー、マーケティング担当者など、多くの選択肢があります。

eスポーツコースで学ぶことにより、ゲーム以外の興味や特技を活かせる職業も選べるようになります。

熱意を持つ仲間と交流できる

高校のeスポーツコースでは「ゲームが好き」という同じ志を持ちつつも、様々なバックグラウンドや経験を持つ仲間と出会えます。

「eスポーツに人生をかけたい」という熱意が高い仲間との交流は、モチベーションを向上させてくれます。異なる視点を持った仲間と、広い視点で学び合うことで、友人を超えた深い絆を築き、将来のキャリアにもつながるネットワークが形成されます。

将来の市場規模、周辺業界の拡大

先述のとおり、eスポーツ市場は今後も拡大し続けていくと予測されています。

市場の拡大に伴って、イベント企画・運営、選手のマネジメント、育成、ゲーム実況・コメンテーター、ゲーム開発、ゲームデザイン、マーケティング……など、eスポーツに関わるさまざまな仕事が生まれ、需要が増えると予想されます。

「部活」にはないメリット

高校生がeスポーツに取り組む手段には、専門コース(科)以外にも「部活動」があります。部活動ではなく、専門コースで学ぶことには以下のようなメリットがあります

  • プロ選手や専門的な講師から体系的な知識を学べる
  • 最新、ハイスペックの設備を利用できる
  • eスポーツの技術だけでなく、関連する幅位広い分野のスキルを学べる
  • eスポーツ関連の就職・キャリア形成に近づける

高校でeスポーツコースを選ぶデメリット

  • eスポーツ以外の一般的な科目の学習時間が減る(大学受験に不利になる可能性)
  • 現状、eスポーツコースがある学校は私立が多く、金銭的な負担が大きい(年間の学費は50〜70万円程度かかる学校が多い)
  • eスポーツへの社会的な理解が進んでいない(知人や親戚などから理解を得られない可能性)

比較的新しい学習コースが故のデメリットが想定されます。

しかし昨今は企業が高卒採用を強化していたり、行政が高校生への学習費の支援を行うなど、これらのデメリットも時間の経過によって小さくなっていくと予想されます。

eスポーツコース(科)卒業後の具体的な進路例

eスポーツコース(科)がある各学校の卒業後の主な進路の例は以下のとおりです。

【進学】

  • 大学(国公立大学、私立大学、短期大学)
  • 専門学校(デザイン系、IT系、調理系……)

【就職】

  • プロゲーマー(個人・チーム所属)
  • イベント会社
  • プロチームマネジメント会社
  • 映像制作会社
  • その他IT業界

【関連業種】

  • ゲームデザイナー
  • ゲームプロデューサー
  • ストリーマー
  • イベント運営会社 など

高校のeスポーツコースは歴史が浅いため、進路実績はまだ少ないです。そのため各校ともきめ細かい進路指導を行い、生徒が自分に合った多様な進路を選べるように努めています。

茅ヶ崎市・横須賀市でeスポーツが学べる「成美学園 eスポーツ科」

【2024年度版】成美学園eスポーツ科ってどんな学科?

2007年に開校した通信制高校・サポート校「成美学園高等部」は、関東25か所、約2,300名の生徒が高校卒業資格の取得に向けて学園生活を送っています(2025年4月現在)。そんな成美学園が2021年に【3年間でプロeスポーツ選手を目指せる】eスポーツ科を立ち上げました。

2025年現在、神奈川県では茅ヶ崎校、横須賀校にeスポーツ科があります。

成美学園 eスポーツ科の取扱タイトル
VALORANT
Apex Legends
Fortnite
LoL(League of Legends)

2種類のコース

成美学園 eスポーツ科では、大会での上位成績やプロeスポーツ選手を目指す「競技コース」、初心者を含むすべてのゲームが好きな生徒がeスポーツに関わる知識やスキルを学べる「総合コース」の2コースを用意しています。生徒それぞれの目的や目標に合わせてコースを選べます。

高校卒業とプロゲーマーを目指す

「ゲームが大好きな子どもたち誰もが活躍できる居場所を提供したい」という想いから発足した成美学園のeスポーツ科では、3年間で通信制高校 [成美学園高等部 一般通信クラス] の高校卒業資格の取得と、プロeスポーツ選手を目指します。

カリキュラム丨午前は個別学習・午後はeスポーツ

eスポーツ科では午前中に学習やPCスキル習得を行い、午後からeスポーツの活動に取り組みます。

午前中の40分×3コマの授業時間は個別でレポート学習を行います。生徒それぞれが自身の理解度に合わせて学習を進められます。

▼eスポーツ校 1年生の時間割例

多様な学習カリキュラム

学習の時間では高校卒業資格の勉強はもちろんのこと、社会での活躍を見すえた独自のカリキュラムも用意しています。世界で活躍するための英会話、プロのトレーナーによるメンタルトレーニング、関連するIT系のスキル(動画編集、デザイン、プログラミングなど)を習得できるプログラムもあります。

プロ選手からの直接指導

成美学園のeスポーツ科ではさまざまなゲームタイトルで活躍するプロ選手から直接指導を受けられます。経験にもとづいた戦略、戦術、マインドの指導などを直々に受けることで、プロ選手になる夢を現実的なものとして捉えられるようになります。

成美学園では「ゲームがうまいだけの選手」ではなく、「ファンやスポンサーから応援される魅力的な選手」への成長を目指します。

大会への参加を積極的にサポート

成美学園では日々の学習内容の実践の場として「STAGE:0」や「NASEF JAPAN」などの高校生大会への出場を積極的に後押しします。競技コースと総合コース、どちらの生徒も参加できます。

プロ選手から学んだスキルで日本一を目指しましょう。活躍によっては、プロチームによるスカウトがあるかもしれません。

企画力を養うイベントも

成美学園 eスポーツ科には魅力的な校内イベントもたくさんあります。体育祭などの感動や興奮を共有できる行事、生徒が企画する「夏の陣」「春の陣」といったイベントでは「どうすれば他の人が楽しめるだろうか」と真剣に考えることで、自然と企画力も養われます。

eスポーツ科の入学資格

成美学園の入学資格は中学校卒業以上で、入試は作文と面接のみです。学ぶ意志があれば、どなたでも入学できます。

学校説明会、体験会 にて詳細をお伝えいたします。

熱意を持った仲間と好きなことに挑戦できる環境へ

eスポーツが今後も国内外で注目されるコンテンツであることは間違いないでしょう。一方で高等教育におけるeスポーツ科/コースの歴史は浅く、進路に不安を感じるかもしれません。

成美学園 eスポーツ科では勉学とeスポーツを両立できるカリキュラムを用意しており、生徒の将来の選択肢を広げられるようにサポートいたします。ゲームのスキルアップだけでなく、社会に求められる力の習得を目指します。

好きなことに思い切り挑戦でき、仲間とともに【感動・興奮・達成感】を共有できる成美学園のeスポーツ科での学生生活を、ぜひ、ご検討ください。